2013年度、岡山県公立中高一貫校適性検査一覧

先日、天城中の適性検査がHP上にアップされて、平成25年度の岡山県公立中高一貫校過去問が出そろいました。

天城中学
http://www.amaki-jhs.okayama-c.ed.jp/aptitude/aptitude.html

大安寺中学
http://www.daianji-ss.okayama-c.ed.jp/nyuushi.html

操山中学
http://www.sozan-jhs.okayama-c.ed.jp/bosyu/tekisei/tekiseitop.htm

24年度からいわゆる「共通問題」が採用されましたが、今回も適性�・�ともに、課題1と3が共通問題、課題2が各校の独自問題になっています。かつては操山名物だった、聞き取り問題はもうなくなったと言ってよさそうです。

対策としては、この辺だとアインストーン(好学出版)を使っている塾が多そうですが、国語については岡山の傾向とあってない感じがしてます。特に共通問題となってからは、小学生にとってはなかなかにごっつい課題文を理解できる丁寧・正確な読解力と簡潔・端的な理系的表現力が求められているのに、「私の宝物」みたいな散漫なテーマで無駄に長い文系的作文を書く演習が多すぎます。出鼻の「文章の構成・表現」あたりの単元もいまいちだし。国語にどんな対策を用意してるか、ちゃんと作文読んでくれてるか、あたりが、良い塾・駄目な塾・普通の塾を見分けるマイルストーンではないでしょうか。

I WILL IF YOU WILL

高1の時制の単元で習い、入試でも頻出の有名文法に「時・条件を表す副詞節では未来のことも現在形(または未来完了の代わりに現在完了形)で表す」というのがあります。

例えば、手近な河合塾の黒本にはこんな問題がありました。

If the taxi ( ) by 10 o'clock, I'll give you a lift to the station.

①arrived ②doesn't arrive ③will arrive ④won't arrive

タクシーが10時に来るのは未来のことだから、なんとなくwillとかwon'tをつけたくなるけど、このif節は副詞節だから上記の文法と文脈を勘案して、正解は②doesn't arriveを入れ「タクシーが10時までに来なかったら、駅に送ってあげるよ」となる、というもの。

ただ、これには例外があって、最近目にした表現で"I WILL IF YOU WILL"というのがありました。

Earth Hour - YouTube

これはアースアワーで使われていたキャッチフレーズで、このif節も副詞節ですが、willが使われています。
なぜか?
この標語の意味は「きみがそのつもりならぼくも」といった感じでしょうが、意志の意味で使われるときは、たとえ時・条件の副詞節の中でもwillがつくんですね。

そうそう、アースアワーといえば、今年の岡山大2次前期の問3は、アースアワーに関する朝日新聞の記事を英作する問題でした。背景知識を持っていると、問題にとっつきやすかったかもしれませんね。

kindle初体験

iPhoneアプリとしてですが、kindleを使ってみました。
愛読書"The Great Gatsby"や"Alice"を無料で試してみて、このサイズでも結構いけると思えたので、初の縦書き日本語ものを購入してみました。

空白を満たしなさい

空白を満たしなさい

まだ読みだしたばかりですが、紙よりもむしろテンポよくページをめくれるし、作品自体の文章の良さもあいまって、すんなり入ってきますね。それほど紙の質感がどうのというこだわりもない方なので、kindleにシフトしていこうかな。若干値段もお安くなるし。

スロー・ラーニング

そういえば忘れていましたが、今春から高校は新学習要領の実施となりますね。
ということでこのシーズンの風物詩、教科書検定のニュースなんかがあれこれ出ていますが、英語関係ではこんな記事がありました。

http://mainichi.jp/select/news/20130327k0000m040068000c.html

「英語」「オーラルコミュニケーション」「リーディング」「ライティング」に分けていた科目を「コミュニケーション英語」「英語表現」「英語会話」に再編。

なんだか分かったような分からんような「再編」ですが、僕はまだ実物を見たことはないですけど、倉敷で採用されてる"Unicorn"(文英堂)とか"Power-on"(東京書籍)シリーズなんかも一新されてますね。

「英語の授業は英語で行うことを基本とする」という新ルールを盛り込んだ。26日に検定結果が公表された英語教科書も、多くがスピーチやディベートなど「コミュニケーション重視」を前面に出し、日本語の記述を減らしている。だが、教員からは指導の不安や疑問の声が聞かれ、実際には「文法重視」の従来型教科書の人気が高まるという皮肉な現象も起きている。

これについては現場の動揺や混乱が目に浮かぶようです(笑)結局、大山鳴動鼠一匹的なことに落ち着く気はしてますが、英語について言うと、コミュニケーションはそら大事ですが、丁寧に一語一文、文法・構文を納得して、声に出して耳にして、体に落とし込む体育会系的基礎トレーニンをおろそかにするようならば、いっそう家庭教師や塾のニーズが高まることになるでしょう。

今回の検定で合格した教科書は、文章を速く読んで大意をつかませ、理解度を穴埋め問題などでチェックするスタイルが目立つ。さらに、そのテーマで生徒にスピーチやディスカッションをさせるが、文中の文法事項は、それらの合間に挟み込む形で付随的に学ばせるものが多い。

これは確信を持って言えますが、ゆっくり読んでもわからんものは速読できません!
いやまあ物理的に速く雑に読むことは可能でしょうが、そんなものは効果薄いと思いますね。
英語でも国語でも、むしろ「スロー・リーディング」(平野啓一郎)というか、「スロー・ラーニング」を徹底すべきというのが、私の意見です。

Make haste slowly!

本の読み方 スロー・リーディングの実践 (PHP新書)

本の読み方 スロー・リーディングの実践 (PHP新書)

岡山の医学部専門塾

岡山駅前に、岡山s2進学塾という、医学部志望者専門の塾が新しく出来たようですね。

http://www.s2jyuku.com/

同じ業者に頼んだのか?、というくらいサイトの作りが岡山楷進予備校(http://www.55kaishin.com/)、に似ていますが(笑)、富士学院も含めてこのカテゴリーもレッド・オーシャン的状況になりつつあるのでしょうか。

岡山、自己推やめるってよ

http://sankei.jp.msn.com/region/news/130323/oky13032302220003-n1.htm

ということで、来年度から岡山公立高校の自己推薦入試がなくなることが確定したようですね。
これで大半の学生にとって一般入試の一発勝負になるわけで、メリット・デメリットいろいろあるでしょうが、記事にある「早い時期に受験が行われるため、中学3年の3学期の授業に身が入らないなど弊害」というのは、直接学生に接しているとよくわかる話ではあります。あと、なんでこの人が受かってこの人が落ちるの、とか選考の不透明感みたいなのも結構ありましたし。S高校の自己推にはバスケ部枠があるとかまことしやかな噂もあったり。

とにもかくにも、大半の学生にとって一般入試一本化は決まったことのようなので、現場的には、難問を解くより基礎的な問題を素早く解く演習に比重をかけていくことになるでしょうね。

生きてゐる人間

英語リーディング・テキストの題材に何がふさわしいかというと、なかなか難しい問題で、いっときは入試も含めオバマ大統領のネタであふれかえったりしていましたが、O・ヘンリーみたいなトラッドな小説なんか載せると古臭いだの現代英語ではこんな言い回ししないだのケチがつきかねず、かといってモダンにすぎるものばかりだと若者におもねってるだの公教育は権威的であれだの説教を垂れる輩もいたりして……まあとはいいつつ、全体的な傾向としては、現代的な、タイムリーなテーマに寄せつつあるのは間違いないのでしょうが。

この近辺だとK学園の新高2生が採用しているProvisionⅡ(桐原書店)のLesson1が"Go Armstrong!"というものでして、このArmstrongはLouisとかNeilのトラッドな方ではなく、自転車のLanceさんの方だったからきわめてタイムリーなことになりまして。

「もうパパを擁護しなくていい」 元自転車王者の告白 (写真=ロイター) :日本経済新聞

無論、教科書作成時点ではこのようなことになるとは予想できなかったから仕方ないんでしょうが(といってもいろいろ良からぬ噂の絶えない人でもあったようですが……)、ふと、今年のセンター国語で多くの受験生を奈落に叩きこんだ小林秀雄の一節を思い出しました。

「生きてゐる人間なんて仕方のない代物だな。何を考へてゐるのやら、何を言ひだすのやら、仕出かすのやら、自分の事にせよ、他人事にせよ、解つた例ためしがあつたのか。鑑賞にも観察にも堪へない。其処に行くと死んでしまつた人間といふものは大したものだ。何故あゝはつきりとしつかりとしてくるんだらう。まさに人間の形をしてゐるよ。してみると、生きてゐる人間とは、人間になりつゝある一種の動物かな」(無常といふこと)

ただ、後日談として、Oprah Winfreyとの対談でも見てディスカッションしたりすると、癌を克服しツール・ド・フランス7連覇をはたした神話的な英雄譚以上の、より深い「生きてゐる人間」に対する洞察が得られたりするのかもしれません。