2013年度、岡山県公立高校入試「英語」雑感

いやあ、今年の岡山の公立高校入試も終わりましたね。

英語ですが、どうでしょう、難易度的には「やや易化」といった感じではないでしょうか。大問4の4の英作が内容的にやや書きにくかったくらいで、後は基礎的な問題が多かったと思います。ただ試験時間内に読む分量自体は決して少なくはないので、長文に対する抵抗感をなくす訓練は必要でしょうが。

曜日や季節の正確なスペルを問うなど、一昔前の傾向が戻ってきており、私の担当の生徒には5年以上前の過去問もかなりやってもらったので、対応しやすかったようです。一時の、かなりの分量英作を書かせる問題はなくなりました。公立高校入試レベルの語彙・文法力でああいうのは良くないと個人的には思っていたので、これは歓迎できる傾向ですね。あとは、大学のセンター試験では発音・アクセントの問題があるのだから、公立高校入試でも入れておくべきでは、と思っています。高校入試で出題されないものだから、中学時代に発音・アクセントをまったく意識しておらず、高校に入って苦労するケースを身の回りで何度も目にしています。

試験問題と解答はこちらの岡山県私塾連盟のサイトで見ることができますが、

岡山県私塾連盟 - 岡山の学習塾の集い

しかしあれですね、なんでテレビでの解答速報はなくなったんですかね。
当日は香川県の解答番組とかやってました。
これも岡山県の教育におけるあれな状況の象徴でしょうか。
うちの上の子も4月から公立の小学生なんですが、いろいろと不安いっぱいであります(笑)

[近況追記]
2013年3月現在、60分3500円、90分5000円、120分6000円で新規お受けしています。
一貫校以外の普通の公立小中学生であれば英語以外の教科(国語・数学・理科・社会)も、天城・操山・大安寺中学適性検査対策も可能です。
初回カウンセリング・体験授業は無料ですので、お気軽にご相談ください。

近況

どうもどうも久しぶりの更新です。
近況報告ですが、昨年度は、大学受験のみならず、高校受験生の担当で貴重な経験をさせてもらいました。
岡山白陵高校、学芸館英語科、城東高校推薦、といった高校生としてはかなり高い英語力を要求されるところと個別にじっくりつきあいました。

白陵の英語は通常の中学英語をこなせる程度じゃ歯がたたない情け容赦のない代物ですが、今年はやや易化した感じでしょうか。城東のリスニング英作文は、一般の入試にはあまりみられない問題形式なので、傾向にあった特訓が必要でしょうね。ただ今年のはなんか変な問題だったような……あんなお題で8行も書くことありますかね?学芸館は、英語面接の練習をしておいたのですが、今年は特になかったと受験した生徒は言っていました。

とまあいろいろありましたが、いずれにせよ、結果は全員合格!で講師としては安堵しております。

ところで、新年度もスタートしておりますが、今年度の中学部ではなんといっても、教科書刷新、が大きな変化ということになりますよね。倉敷地区ではどこも、開隆堂の"Sunshine"から三省堂の"New Crown"に変わったようです。3年トータルの語彙数なんかもかなり増えているようで、つなぎ目の学年は対応が難しくなりそうです。しかしあれですね、一貫校大安寺中学なんかは教育出版の"One World"というのを使っていたんですが、これも"New Crown"になりました。一貫校なら一貫校らしく教科書も一貫させたらどうなのかとか思ってしまうんですが、それにしてもなんでどこもかしこもこんなに"New Crown"推しなんですかね。ちゃんと比較検討したわけじゃないですけど、私的見解では、例文も構成も見づらい感じがするんですけどねえ……。いずれにせよ、家庭教師、塾的には、対応テキスト総とっかえが面倒なので、"New Crown"に対し曇りあるまなこで見ているだけなのかもしれませんが。

あとあれだ、以前、倉敷には河合塾駿台のようなメジャー予備校がないという話を書きましたが、駅ビルに東進が入りましたね。今のところ生徒数は少ないようですし、校舎のサービスがあれだという評判を仄聞しましたが、まだ開校したばかりのようですし、しばし様子見という感じでしょうか。

英作文対策

前回も少し書いたように、岡山大学の二次試験で英作文の配点がやたら高いこともあり*1、英作文はどうやって勉強すれば良いですか、という質問をよく受けます。
赤本のアドバイスなんかにはよく学校のライティングの授業をしっかりやっておけばOK的なことが書いてあるけれど、個人的な意見としては、それでは不十分だと思います。
倉敷の学校だとよく"Polestar"とかをライティングのテキストとして使ってあるけれど、ああいうのは、熟語を当てはめて一文作ってみましょう、みたいな練習が多くて、all the 比較級 for〜みたいなのがたまたまはまる文章が出題されれば良いけど、あまり応用力はつかないと思うんですよね。
で、私が生徒さんにお勧めしているのは、ちゃんとした英作文の体系的な参考書を一冊仕上げること。

大矢英作文講義の実況中継―高2~大学入試 (実況中継シリーズ)

大矢英作文講義の実況中継―高2~大学入試 (実況中継シリーズ)

岡大レベルなら、この『大矢の英作文』一冊で十分だと思う。
ただし、一通り流し読みするだけじゃなく、自力で解いて、正解例がなぜこうなるか納得しながら、しっかりおぼえるまで反復練習すること。一通りおぼえても、一定の時間をおいて再現できるかチェックをおこたらないことが大切です。
できれば、私のような(笑)信頼できる先生に一題ごと添削してもらうとより力がつきます。
というのも、必ず誤答例とは違う、自分では判断つきかねる間違いをしたりするからね。それに、このテキストは良いテキストですけど、these daysとrecentlyの語法とか、明らかな間違いもあるので……
英作文の勉強は、やっぱり家庭教師がおすすめです!

東大・京大などより上のレベルの英作文が必要な場合は、ぜひこちらに取り組んでみてください。

CD2枚付 竹岡広信の 英作文が面白いほど書ける本

CD2枚付 竹岡広信の 英作文が面白いほど書ける本

一冊仕上げるのはかなり大変だけど、その分、力は確実につきます。後に出版された、ということもあるけれど、『大矢の英作文』より語法欄なんかも洗練されています。
ただボリュームがボリュームなんで、特別に英作文が必要な大学でないかぎり、オーバーワーク気味かもしれません。他の教科の勉強時間との兼ね合いもありますから。

受験英語を離れて、英会話の授業を希望される生徒さんには、こんなテキストもすすめています。

どんどん話すための瞬間英作文トレーニング (CD BOOK)

どんどん話すための瞬間英作文トレーニング (CD BOOK)

瞬間英作文というやつで、はじめは単調な感じがするかもしれないけれど、この練習が軌道にのってくると、導入の雑談なんかも良い感じになってくるんですよ。すごく効果があります。
ただ、高3生の英作文対策にはまったく向かないので、大学受かってから、やってみてください。

社会人の英会話にはこちらをおすすめしています。

英語口 英文法ができると英会話ができる 初級編〈1〉

英語口 英文法ができると英会話ができる 初級編〈1〉

ただ、ひたすら音読80回というよりは、瞬間英作文的なやり方を個人的にはおすすめしています。
アメリカ口語英語を身につけるのに最適と思います。

*1:5題のうち長文読解2題、英作文3題となっています

長文対策

最近は、センター試験を筆頭にどこの大学でも長文問題の配点が高いので、先生、どうやったら長文できるようになるんですか、とか、とにかく長文対策やってください、みたいな長文長文雨長文な要望が多いですね。

で、家庭教師先でおすすめしているテキストとしては、こちらが多いです。

やっておきたい英語長文300 (河合塾SERIES)

やっておきたい英語長文300 (河合塾SERIES)

やっておきたい英語長文500 (河合塾SERIES)

やっておきたい英語長文500 (河合塾SERIES)

やっておきたい英語長文700 (河合塾SERIES)

やっておきたい英語長文700 (河合塾SERIES)

やっておきたい英語長文1000 (河合塾シリーズ)

やっておきたい英語長文1000 (河合塾シリーズ)

このテキストの良い点は、ステップアップ式になっているので、よーし、まず300クリアしたぞ!とか、生徒のモチベーションがあがりやすい、というのがあります。各単元にまとまっている文法とかディスコースマーカーなんかの解説もなかなか良いですし。もちろん全訳とか重要語句もしっかりついています。

難点としては、実のところ300からすでにしてけっこうレベルが高いので、普通の2年生レベルではかなり厳しい、というところです。もう1ランク下があるとより良いのですが……でも難しいものにチャレンジしている感でやる気になる生徒にはがんばってやってもらってます。岡山大学レベルなら、500まできっちりやればお釣りがくるほどの内容だと思います。ただどういうわけか、倉敷の小さな書店ではほとんどこれ置いてないんですよね、イオンの喜久屋書店ぐらいでしかみかけないです。

長文対策はもちろん重要なんですが、大学入試英語の学習優先順位として、僕は古典主義的なところがあるので、まずは文法を固めて、短い文章を正確に読めるようにする英文解釈的な練習をした方が良いと思ってます。実際、多くの生徒にはそちらのプランから提案してますし、長文演習でも、最初のうちは一文一文きっちり構文を追えているか確認しながら進めています。

英文解釈教室 改訂版

英文解釈教室 改訂版

といっても、大先生のこの名著は、さすがに取り上げられる話題が古すぎるような気がするので使ってません。流行りの話題の背景知識(スキーマ)を押さえておくのも重要なので。大学受かった後、家庭教師のバイトでもしながら読んでみると感慨深いものがあると思います。

『フォーカス・ファインダー 英文法・語法問題』

Focus Finder 英文法・語法問題 大学入試攻略のための焦点189

Focus Finder 英文法・語法問題 大学入試攻略のための焦点189

Next Stage英文法・語法問題―入試英語頻出ポイント215の征服

Next Stage英文法・語法問題―入試英語頻出ポイント215の征服

センター試験レベルの英文法系の問題集といえば、良くも悪くも『ネクステージ』が定番で、岡山県の多くの進学校も採用してますが、同じ著者(河合塾の瓜生豊氏)が今年出した文法問題集がこれです。
S高校で配布されたとのことで私も中身を見てみたのですが、なかなか良い感じだと思います。
「文法」「語法」「イディオム」「単語・語彙」「会話表現」「発音・アクセント」の6部構成は、ネクステとまったく同じですが、全体の問題数はこちらの方がかなり絞り込んであります(ネクステは1380題で、こちらは948題)。ネクステはイディオムの量が無駄に多くて、一周解くのに時間がかかりすぎる印象があったので、こちらの方が使いやすいのではないでしょうか。
あとこちらは前書きでネイティブチェックが入っていることを強調しています。すると、ネクステの頃はチェックしてなかったんですかね、といったことが気になったりもします。

まだ使いはじめたばかりなので、ネクステで微妙だった解説が改善されているか、生徒の反応はどうか、などを見て追記していく予定です。

追記1:
ネクステの駄目なところというのは、絶対におさえておくべき基本問題と難関大学ぐらいでしか出されない難問が同じような重要性で書かれているかに見えることと、その難問の解説がわかりにくい、ということです。

例えば、317の慶應義塾大学の問題で、

Derek found an ideal environment ( ).
1. in which foreign languages to be learnt
2. in which to learn foreign languages
3. learning foreign languages in
4. which to learn foreign languages in

というのがあり、2.が正解なんですが、その解説がこんな感じなんですね。

「前置詞+関係代名詞+to 不定詞」の用法
⇒「前置詞+関係代名詞+to 不定詞」の用法が、直前の名詞を修飾する用法がある。
「前置詞+関係代名詞」のセットが必ずto不定詞の前に来なければならない。
この形は、近年、整除問題でもよく問われる。
◆この表現は前置詞を後置することはできない。よって4,は不可。

そもそも、こんなマニアックな問題そんなに出ますかね?
それに説明がわかりにくいです。
センターレベルの生徒には、Derek found an ideal environment to learn foreign languages in. という、前置詞を最後に残す不定詞の形容詞的用法を使ったこっちの文をしっかり身につけてもらうことの方がはるかに大事です。
その上で、この場合は、不定詞が、副詞的用法(〜ために=in order to)ではなく、形容詞的用法であることをはっきりさせるためにあえてこういう表現を使うこともある、という手順で説明するべきじゃないでしょうか。少なくとも一つのセクション設けるような問題とは思えません。

で、新しいフォーカス・ファインダーの方で関係詞のとこを見てみると、この問題はなくなっているようです(まだテキスト全部を確認したわけじゃありませんが)。

追記2:
で、その後の感想ですが、見た目以上に扱う範囲を絞り込んでますね。
例えば、「関係詞」で言うと、なんと、asとかthanがなくなっています。たしかに、近年の入試の傾向では減ってるのかもしれませんね。TOEICとかでそういうマニアックな関係詞が出題されることはあまりないので、今後もそうなっていくかもしれません。ただ、そういう最新の傾向にろくろく対応してない田舎の進学校の定期試験なんかでは、関係詞のasとかthanとか、ばんばん出題されているので、1,2年生にこのテキストをすすめるのは微妙かもしれません*1

現時点での私の印象で言うと、3年生が短期集中で文法・語法の総復習をするのに適した教材、という感じでしょうか。田舎進学校の1,2年生が定期試験対策も兼ねながら使うには網羅性の高いネクステの方が無難かもしれません。

*1:あと、語法でいうと、hardly everみたいなのがなくなっているのは気になります

倉敷の学習環境について思うこと

私は出身は岡山ではなくて、いろいろと縁あっていまはここに住んでいるんですが、それにしても倉敷というのは、子供の教育的には恵まれていない土地柄なんじゃないか、と家庭教師としてまた二児の父としてよく感じます。

普通の公立の中学校の生徒をお引き受けすることもあるのですが、その子たちから学校の話を仄聞するにつけ、絶対にわが子はここに通わせたくない、とか思ってしまいます。
英語は"Sunshine"という開隆堂の教科書を使っているところが多いんですが、とにかく信じられないくらい学校の進度が遅いです。1年かけてあのうすっぺらいテキストがまともに終わらないくらいなんですね。この間の3年生の期末テストではなんと受動態すら試験範囲に入っていません!学校ではいったい何をやっているのかきいてみると、先生がヤンキーをつかまえにいって授業が中断したとか先生が泣きだして授業にならんかったとか、そんな話ばかり……。
対して、天城中学などの中高一貫校は、Z会の"Treasure"とか"Progress"とかを使っているんですが、新出単語量からして3倍くらいの差があるうえに、授業の進むスピードも全然違います。それはそれでついていけない生徒を量産しているという側面もあるでしょうが……とにかく、やる気と能力のある普通の家庭の公立中学のお子さんがかわいそうだという環境は確かにあるかと思います。

塾に関して言うと、高校生の通う良い塾があんまりない気がしますね。
まず河合塾とか駿台とか大手の予備校が倉敷にはありません。
鴎州塾・能開センター・KLCセミナーなんかが地元では大手になるようですが、どこも小・中学生の通う塾という感じが(あくまで私には、ですが)しますね。私が家庭教師でお引き受けする高校生も、中学まではそれらの塾で成績も良かったけれど、高校で伸び悩んでいるというケースが多いです。高校受験で燃え尽きちゃったというような。英語について、これらの塾に共通する問題点をあげると、基礎となる文法・語彙力がぐらぐらのまま、焦って実践的な長文ばかりやらせて身になっていない、という感じですね。逆に言うと、基礎の穴をきっちり埋めてあげると、比較的短期間で成果が出てきます。

それから、最近の流行りなのか倉敷にも個別指導塾の大手チェーン店はかなりありますね。ただ、そういうところの内実を見ると、講師の大半が大学生アルバイトです。倉敷の場合、岡山大学の教育とかが主力なので、実習や試験の時期になるとシフトはひどいもんです。また個別指導と言いながら、実際はたいていのところで1対2以上で、個別に来るような内気なタイプの子は、隣が気になって結局ろくに質問もできない、という結果になりがち。それで私のような家庭教師のところにも流れてくるようです。実際、個別指導は集団指導に比べ授業料がかなり高いですから、個人契約の家庭教師の方がお得ということはよくある話です。

あと大学については、岡大信仰が非常に強いですね。青陵高校とかでもっと良い大学行けるのに岡大の教育受けるとか、偏差値的にあきらかに無理なのに岡大受けることしか考えてないとか、そういうケースをよく目にします。それにしても岡大の二次の英語はなんであんなに英作文の配点が高いんですかね。合格する生徒でもたいして書けてないと思うんだけど。

以上まとまりのない話ですみませんが、要は、倉敷での学習面での子育てはなかなか大変そうだということでした。